FM(ファシリティマネジメント)の勉強に、倉敷市へ行財政改革特別委員会として視察に。
写真は倉敷市庁舎
倉敷らしい瀟洒な建物でした。
平成25年10月21日 倉敷市
「実践から始めるファシリティーマネジメンくらしき流」
倉敷市は一般会計予算1666億円と財政的に豊かであるが、約4800の施設を抱えており、そのうち約60%が学校と市営住宅で占められてる。
倉敷市全体の施設老朽化率は63%であるが、施設老朽化率が80パーセントを超える建物は50パーセント以上になっており、将来の維持管理コストは莫大なものになることが判明した。
公共施設の更新維持費用を試算すると1年あたりの建て替え費用は約104億円、建て替えと維持管理を足すと約204億円にもなるということであったが、しかし、使える建て替え予算は年間10億円にしかならないという現実がファシリティマネジメントに取り組むきっかけとなっていた。
倉敷市の独自性は民間ファシリティマネージャーを採用していること。
平成19年に現室長を採用し、長期修繕計画等に着手し、その後数名のファシリティマネージャーの採用、さらに技術系職員として、建築、電気、機械の専門家を採用している。
これが「長期修繕計画室」の設置となり、技術屋の視点からのFMの推進がなされ、一般職では分からない建物の現状を知ることにつながっていった。
これは予防修繕という考え方で、建物や設備の老朽化を予防し、計画的な修繕が可能となり維持管理コストを大幅に下げる効果が期待できる。
出雲市もそうであるが、壊れたり痛んだりした時に初めて予算をつけて、施設の修繕に取り掛かるというのが一般的である、しかしこれでは計画的な予算執行ができないデメリットがある、しかも無駄な支出が発生する可能性が高いものである。
そういう面で、こういう技術系のFMマネージャーを採用して、全施設を点検し予防修繕を行っていくことを出雲市でも実施するべきであると考える。
そしてこの過程において、現状把握のためにデータの一元化が行われていた。
公有財産の実態は、土地も建物も課税対象ではない、登記していない、測量していない、図面や完成図書を保管していないことがあげられる。
こういう状態で困るのはどういうことか?
改築するとき現存建築の図面を作成しなければならない、売却や貸付するとき測量しなくてはならない、また登記しなくてはならない、つまり、役所が土地や建物を動かすときに、こういった手続きにお金がかかる、そのためには予算措置が必要で、スピーディーな対応ができなくなるのである。
ではどうしたか?
各所管課や施設に保管されていた図面を一か所に集めたそうです。
平成21年には長期継続契約を締結することができる契約を定める条例を施行し、維持管理業務を一元化し経費削減に取り組んでいた。
例えば、学校園の機械警備委託 平成23年から5年間に、昇降機契約の見直し 49基を5契約に5年間、ESCO導入などの実施をしていた。
マネジメントとして、公共施設伯本編を平成24年度に作成公表、そして平成25年度に施設別白書を作成して、施設の現状を示し、同種施設の比較ができるようにし、施設の再配置を議論する際の資料として活用する予定であった。
FMはいろいろな取り組み方が可能であり、倉敷流のやり方も行財政改革につながることは間違いない。
ただ公共施設の整理統合再配置を目指す我々からすると、大鉈が振るえてない印象を持ってしまった、その原因は、担当課が全庁的な影響力を持つことができていないこと、全てが、ボトムアップ方式であり、トップからの方針が示されていないことにあると思われた。
出雲市のように財政的に余裕のない自治体では、やはりトップダウンで大鉈を振るうFMが必要だと改めて感じたところです。