出雲ローカルサーファー

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2012年3月31日土曜日

視察報告 東京→名古屋市→藤枝市

「子ども子育て新システム」について、山本博司参議院事務所で内閣府企画官他2名から説明を受ける。
平成24年2月13日に、子ども子育て新システムに関する基本制度とりまとめが公表され、具体的な制度設計が進められている。がしかし、この制度を実施するためには裏付けとなる財源が必要であり、それは消費税に求めるしかないのが現状らしい。よって今もめている「社会保障と税一体改革」がまとまり、消費税の引き上げがなされなければ、日の目を見ないようだ。
これまで、文科省と厚労省の管轄だった幼稚園と保育園を一つにまとめるために、内閣府が関与していくことになったそうで、これもこれからこの制度がややこしくなる
一因になるかもしれない。
待機児童がいる保育園と、定員割れが続く幼稚園を統合することは、今後ますます重要になってくると考えられるので、早期に実施されることを望む(ただし、消費税上げは反対である)。


 次に「TPPの現状」を内閣官房国家戦略室参事官補佐他一名から説明を受ける。
ちょうど「TPPをともに考える地域シンポジウム」が終わったところでタイミングが良かった。
説明に使われた資料は広島のものであった。
今盛んに論議されているTPPは、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構想実現の先駆けとして進められている。そのために、世界の主要貿易国と高いレベルの経済連携を推進し、同時に抜本的な国内改革を先行的に推進し、その前提として食料自給率の向上、国内農業の振興とを両立させ、力強い農業を育てなければならないとのことだ。
アジアの成長を取り込んでいくためにもこのTPPは必要だとの立場であった、国民が懸念しているのは、関税撤廃により国内農業の衰退、自給率のさらなる低下、また安全ではない食料が増加したり、安全基準が大幅に緩和されるのではないか、公的な医療保険制度が破壊されるのではないか、地方の公共事業が海外の企業にとられてしまうのではないか等々多くの不安を危惧を抱いている。
時間が短かったせいもあるが、これらの不安を払しょくするような説明は聞けなかった。
今後のスケジュールとしては、国民的議論を重ね、批准手続きなども必要なため、政府が強引に進めることは困難なようだ、いずれにしろさらに研究を深める必要があると感じた。



   最後に「サービス付き高齢者向け住宅」について、国交省住宅局安心居住推進課長から説明を受けた。
いわゆるサ付住宅と呼ばれるものである。
このような住宅が作られる背景には、高齢者単身、夫婦所帯の急激な増加、要介護度の低い高齢者も特養申し込み者となっている現状、高齢者住宅そのものが諸外国と比べ不足していることがある。
高齢となっても比較的安価に入居できしかも、安否確認や生活相談サービスを受けることが可能で、介護支援員やヘルパーが日中は常駐しているなど安心が確保できるシステムとなっている。
建設時の補助も国から直接補助がなされるので、事業者にとってもメリットが大きい。
その他契約関係もハードルを低くしてあり、権利金などを受領しない契約になっている、また入居者が入院したこと、入居者の心身の状況が変化したことを理由に、契約会場などができなくなっていることも、安心できるポイントである。
財政的に特養などが建設できにくくなっている現在、民間の力で安心を提供できるようになれば一石二鳥ではないでしょうか。



 

次に名古屋市で実施されている「市営住宅における高齢者共同居住事業」を視察した。
名古屋市営住宅では、入居者の孤独死防止(年間40~50件の孤独死が発生していた)、高齢単身者の入居拡大(応募倍率43倍という高さ)が大きな課題だった。
現在6万戸の住宅を抱えているため、新築や増築を行い対応することはできないため、

上記の課題解決に向けて、既存の市営住宅を使い試験的に実施された事業だった。
3LDKの一室を改装し、3人でLD、風呂、トイレは共同で使用して暮らす共同居住(シェアルーム)ができるようになっている。
対象者は60歳以上の単身、身の回りのことができる、所得制限内などの条件にかなう女性となっている。
NPOが入居契約から見守りまですべて行うようになっている、家賃は3万円で、内訳は、家賃分1万円、見守り料2万円。
今回の入居者は平均70歳、高齢になって不安を感じている人は多い。
少し高いという声もあるようだが、安心を買うという意味で納得されるようだ。
今年の1月に最初の1部屋が決まり、現在順調に生活されているそうだ。
24年度は10戸に広げこの事業を拡大していきたいと意気込みを語っていた。
単身高齢者が増えていく時代にあって、今後いろいろな選択肢が提供されていくと思う、人間関係が悪化した時などにどう対処していけるか、少し様子を見守りたい。



 

最終日は藤枝市において「議会改革、特に、決算委員会の事業評価と提言、常任委員会の現年度事業評価」などについて説明を受けた。
議会運営委員会委員長の舘議員から直接丁寧に説明をしていただいた、さらに同政党議員ということで、わざわざ健康福祉委員会委員長の大石議員も同席いただき、常任委員会の活性化について説明をしていただいた。

予算・決算委員会は特別委員会として、議員を半数で分け構成をしている点で、出雲市議会と相似するところが多かった。
予算審議をしなくなった常任委員会をいかに活性化させるか、決算委員会で審議されたことをどのように予算に反映させるのか、そして予算委員会→常任委員会→決算委員会→予算委員会というような一連の流れ、PDCAサイクルをいかに作るかが藤枝市での議会改革の星だった。
決算委員会での事業評価は、すでに作成されていた「全事業の総点検シート」にもとづき、
主要事業、新規事業、長期継続事業を中心に55項目をリストアップし、各委員の評価と新年度に向けた予算に対する考え方を記載し取りまとめを図っていた。
平成23年度は、評価を行った事業からさらに絞り込み24項目について提言を行った。
決算委員会が終わってからの作業となり、一月ぐらいを要すため委員により取り組みにバラつきがみられたようだ、この期間をもっと短縮する必要があると委員長は発言していた。
委員によって意見の相違があると思うが取りまとめはどのようにしたのかと問うと、相反する意見の取りまとめは困難であり、それぞれの評価意見を尊重し併記することにした、との答えであった。
これにより、執行部の事業執行に対する安易な取り組み姿勢に対する抑制と、議会権能の向上が期待できるということであり、現在の決算委員会の審議をより効果的にする意味からも適切な方法と思えた。
予算委員会においてもこの事業評価にもとづき審議を進めるので、より深く審議ができているようだ。
また常任委員会で年度中に、現年度の事業執行を評価、提言することにより、執行部の予算執行などに良い刺激を与えることができるようだ。
通年議会ではないが、一年中決算などに関心を持ち、現年度の進捗を確認しながら、予算審査に入るという流れができるということは、より充実した事業執行につながっていくに違いない。
当市においても協議しながら導入を図りたいと思った。

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