シカは有害鳥獣では無い。
広島県廿日市市の宮島では、シカは野生生物として、観光客のアイドルとして大切に扱われていた。
宮島港でフェリーを下りて一歩踏み出すと、シカが悠然と歩いている姿に目がとまる。そして観光客がうれしそうに撫でたり写真を撮ったりしている光景に出会う。
小学校の修学旅行で行って以来だから、宮島は50年ぶりである。厳島神社は記憶にあるが、こんなに多くのシカが至る所で寝そべっていて、道路も我が物顔で闊歩していた記憶は無い。車ももちろん遠慮しながら走っている。
観光客や地元の人の餌やりによって次第に個体数が増加したためということだった。
ただ、少なくとも最近10年間は生息個体数が増加していないらしい。
市街地に200頭、山間部に300頭、計約500頭が宮島に生息しているとみられている。周囲30平方キロの小さな島のため生息環境に適応するために個体は、本土のシカより小さい。
現在の頭数は「過密」状態と見なされている。
そしてその過密を解消し、本来の野生状態で生息できる自然環境を整備し、人とシカの適切な環境を実現することが目指されていた。
旧宮島町時代からシカ対策がとられてきたが、平成21年に改めて「宮島地域シカ保護管理計画」が策定され、保護管理の考え方が示された。
計画は5年間で、過密状態の解消、健全な個体の維持、餌やり禁止とゴミの管理の徹底、調査研究(モニタリング・個体群調査・生態調査)、広報啓発、保護管理対策の検討という内容になっている。
ともかく捕獲して数を調整するということは、現在のところ考えられていない。
保護管理対策の検討のなかで、シバ草地の造成があり、包が浦キャンプ場は芝生でシカの餌場になっていた、たくさんのシカが採餌に来るが、裸地になることは無いそうだ。
弥山という山を持つ宮島と弥山を持つ北山山地を重ね合わせて、何かの答えが見つけられないかと思っていたが、単純では無かった。
島という限られた空間、手つかずの天然林を維持する山だからできることと、地続きの北山山地とでは同列に論じられないと言うことか。
行動しては壁に突き当たる。。。
出雲の北山山地は69平方キロの面積で、180頭しか生息できないと決められており、人が捕獲によって数の調整をしている。しかし、なかなか思い通りはいかない。捕獲圧を強める手段だけがとられ続けているが、方向を転換して、野生生物と人が共存できる道をなんとかして見つけ出したいと思った視察でした。
今年生まれた赤ちゃんシカ
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