出雲ローカルサーファー

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2010年10月29日金曜日

八女市の「予約型乗合タクシー」視察報告


八女市は、平成18年、22年の合併で人口約71000人、総面積482.53k㎡の広大な山間地域を抱える自治体である。

 八女地域は日常生活圏が一体化しており、地域公共交通の維持・確保のために、現行の路線バス、スクールバス、患者輸送車、福祉バス等の地域生活交通について、体系的に見直し、市内に点在する交通空白地域の解消を目指すためにデマンド交通の導入を視野に入れながら、協議を重ね「八女市地域公共交通総合連携計画」を策定した。


計画による事業の概要は、①地域内の移動を円滑化する ②小需要に対応できるドアツードアのデマンド交通(予約型乗合タクシー)を導入する ③路線バスは広域幹線のみ継続運行とする ④コミュニティバス、患者輸送車、合併前の市町村で行っていた交通政策は、予約型乗合タクシーに統合するという内容になっている。

 
 平成22年1月から一次導入として、旧八女市エリア、上陽エリアでの実証運行が行われ、12月には全域に運行エリアを拡大する予定である。

一次導入は3台で運行しているが、12月からは、市全域を運行時間を考慮して11の運行エリアに分割し、10人乗りワゴン車11台で運行することになっている。

現在、交通事業者は地元のタクシー会社のうち一社が受託しており、一日8便、平日のみの運行がされている。


特徴的なことは、年齢制限も所得制限などもなく誰でも気軽に乗れる点である。
とかくこういう事業は制限が設けられることが多く、使い勝手が悪くなってしまいがちだ、出雲市で平成18年に試験導入されたデマンド交通が、3ヶ月で中止になったのがいい例である。

ドアtoドアも利用を増やす要因だと思う、バス停まで出ることが大変なお年寄りが多くいるのだから、出雲市で過去に行ったデマンド方式に比べ、市民にとって利用しやすいやさしいシステムとなっている。

これは市内中心部でも言えることで、当市で仮に試験的に取り組むにあたって、過疎地だけでやるのではなく、出雲地域中心部でも行う必要があるだろう。


予約センターの事業費が1585万円と全体の17%も占めており、無駄を感じた、しかし実際にオペレートしている現場の対応を見ると、利用者年齢が高く丁寧な案内と配車の組み立てが必要なことが分かり、大切な部分であることが理解できた。オペレーターが慣れてくれば多少の減額は可能であろうが。


コンピューターが対応する東大方式なども普及しているようだが、方言と微妙なニュアンスが理解できなければ、利用者離れを起こすことは明白なので、出雲市では人に頼る方式で行くしかないだろう。

多分コンピュターに「何分にのーけんね、たのんずね」などと言っても、ちんぷんかんぷんだろうから。

いずれにしろ合併後6年目を迎え、早急に全市的な公共交通体系を構築する必要があるが、デマンド交通がその中心になることは間違いないと感じた。

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